きれいな光沢のなす紺色に染まって、大人の手のひらに横に乗る可愛いサイズ、1個の重さは20〜30g。これが山形県の小なすの定義です。地元では丸ごと塩で浅漬けにしたり、和え物や汁の実にしたり、夏場の食材としては欠かせません。スライスした小なすを天日で干し、野菜の少ない季節に向けた保存食にするのも、この地方に伝わる昔人の知恵です。
さて、なすは「成す」、「為す」という言葉に由来します。次々と紫紺色の花をつけ、また雄花と雌花に分かれていないためにどんどん実を「成す」からです。「初夢や一富士二鷹三茄子」と珍重されるのも、「事を成す」とかけて新年に縁起をかついだものでしょう。
なすは中国から渡来しましたが、奈良時代には栽培されていたというから、日本でも1200年の歴史をもっています。インド原産で、とにかく寒さが大キライ、外気温にもデリケートという熱帯性植物です。
日本では各地方に在来種が栽培され、形も大きさもさまざまでその数は150種以上。山形県の小なすもその1つで、皮が柔らかく実のしまりがいい品種です。22〜30℃が生育適温のなすに、太陽光もほしがるため、茎をV字型に仕立て、水もたっぷり与えます。
こうして、高温と十分な日差しが皮を柔らかく、実をきめ細かに仕上げます。ユニークなのは、気温が25℃以上の熱帯夜は、人間なら暑苦しくてたまらないはずですが、なすにはこれが好環境ということ。暑い夜中にスクスクと生長し、実を張らせます。 |