たらのめはタラノキ・・ウコギ科の落葉樹で、春先、最初に出る一番芽を食べます。代表的な山菜で、そのほろ苦い味や香りは絶品。山形県では「ふかし栽培」という促成栽培法を早くから取り入れました。
ハウス内にまたハウスともいえそうなビニールトンネルの中に、高さ60cmのタラノキの穂木がきれいに立ち並びます。 栽培方法は、秋になって葉の落ちたタラノキの枝を切り出し、乾燥しないように休ませます。その後収穫時期を逆算してハウスに入れ、温度を加えます。つまり、他の植物と同じように、十分休眠を与えた上で、加温して発芽を促すというやり方です。
穂木の床となる部分にはオガクズか水を入れ、脇を通したパイプにお湯を循環させます。こうしてトンネル内を15〜20℃(夜間の最低10℃)に保ちます。この状態で2〜3週間、新緑の芽が伸び、収穫できるようになります。「枝が貯えた養分だけで、肥料は一切与えません」、まさに自然の豊かな生命力がなせる技です。
芽の周辺の温度を徹底管理することと、85〜95%の湿度でじっくり「ふかす」と、重量感のある良い芽ができます。1本の穂木からの収穫量は、頂芽1個と側芽2〜3個で100g前後。格別な早春の珍味を先取りするには、かなりの労力や技術が費やされているのです。
さて、たらのめを店頭で選ぶときは、ずんぐりと太い形のもの、切り口の変色が少ないものを選びましょう。揚げたての天ぷらも良し、洋風のベーコン巻きも良し。ほのかな苦さに、山里が招きよせる春の楽しさを実感できるはずです。 |